①、無保険時の交通事故の恐怖
交通事故は絶対に引き起こしてはならないものであり、各個人が気をつける必要があります。交通事故を引き起こせば、被害者への賠償金や事故の後処理などの費用を支払う必要があり、金銭的にも大変な制裁を受ける事となります。そのような時に、無保険の状態だった場合には、全ての賠償金を一人で負担しなければならなくなります。自動車運転の際には、国が指定する自動車賠償責任保険には加入する義務がありますので、それには必ず加入しているでしょう。しかし、その保険では最大でも3000万円までしか保険金がおりません。3000万円あれば十分だと思っている方がいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。軽度の事故であれば、なんとかなるでしょう。しかし、例えば被害者の方を死亡させてしまい、その被害者には家族がある場合には、その被害者が今後稼ぐはずだった金銭を全て負担する事となるので、1億円を超える事は容易にあります。この時に、民間の保険に加入していなければ、その差額が負担金となりますから7000万円の負担となります。果たしてこの大金を支払えるのでしょうか。交通事故の代償は大きいのです。その備えのためにも無保険は危険です。
②、交通事故における業務上過失傷害罪への批判
交通事故において、よく「業務上過失傷害罪」に問われることがあります。業務上過失傷害罪というのは、業務上要求される注意をはらわなかったために、他人に傷害を与えた時に成立する罪です。
なお、業務という言葉を誤解して、仕事上での交通事故でなければ適用されないと思っている人も少なくありません。しかし、ここで言う業務は必ずしも仕事とか営利目的ということではなく、「反復継続性」を意味しており、従って、買い物やレジャーであっても車を継続的に運転している場合は、業務に該当します。5年以下の懲役若しくは禁錮,又は100万円以下の罰金になります。
なお、交通事故の罪には最高刑が懲役20年の「危険運転致死傷罪」がありますが、同罪は、飲酒や薬物の影響で「正常な運転が困難な状態」で運転したり、赤信号を意図的に無視したりしたことなどの立証が必要なため適用されることが無く、交通事故における罪の軽さが批判の的になっていました。
そこで、新たに「自動車運転過失致死傷罪」が創設され、交通事故による人身事故を業務上過失傷害罪から切り離し、懲役・禁固の上限を5年以下から7年以下へと引き上げられました。